ローカル社員の能力

昨年の11月、ローカル人材の問題について書きました。その時、次回にもう少し詳しく、と書いておきながらその約束を果たすことができていませんでした。

昨日、シンガポールから帰ってきたところなのですが、今回の滞在中、現地法人ローカル幹部とのミーティングを二回してきましたので、その時に感じたことを少し書いてみたいと思います。

まったく違う業界に属する二社のローカル幹部との話し合いだったのですが、一社はすでに一年近くオフサイト的な話し合いを続けて来ていますので日本人幹部はもちろんそうですがローカル幹部も明らかに会社への信頼感や帰属意識はかなりの程度高まってきています。例えば、若い幹部候補を例にとると、この会社でキャリアを積み上げていく具体的なイメージを自分の中で次第に作りあげつつある、といった段階です。

これに対し、もう一社は今回が初めてのミーティングでしたから、最初は戸惑いからのスタートでした。

この会社でも、個々に日本人幹部とローカル幹部とが話し合う、というのは当然ですが行われています。しかし残念なことに、会議のほとんどは単なる伝達の会議になってしまっていたり、問題点をただ指摘する会議であったりしていたのです。つまり、ローカル社員の意見に真剣に耳を傾ける場は基本的になかった、ということなのです。

確かに、日本人幹部に比べてローカル幹部の社歴は短いので、会議で、どうやったらいいのか、という話になる時、日本人幹部の話が中心になりがちです。ローカル社員は圧倒的な経験の差から、日本人から見ればどうしても的外れのことを言うことも多くなり、結果として発言し難い環境が作られ易いのです。

こうした場合、日本人幹部が持つローカル幹部に対する印象は「何でうちには優秀なローカル人材が来ないのだろう、まったく人材運が悪いよな」といったものに成りがちです。

しかし、今、「業務があまりうまく廻っていないと思える状況なのはそもそも何が本当の原因なのだろう」というような話になると、ローカル人材もかなり質の高い議論に耐えうるだけのっかりと問題認識をしていることを示す発言が飛び交っていました。

要はローカル社員が自分の心の中に秘めている意見を発言できるような環境をほとんど作っていなかったことが彼らの本当の姿を見えなくさせていたということでしょう。

こうした状況を見ていると、ローカル社員の持っている力を十分に発揮させないままに仕事をさせている日本企業の現地法人はかなり多い、と言い得るのだろうと思います。