問題の核心はどこにあるのだろうか

人というのが内的な動機を持って自分の意思で行動するときと、他人から強制されて行動する時では、そのもたらすパフォーマンスに大きな差が生ずることは誰もが経験的に知っているます。

日本の高度成長期、少し幅を広げればバブル崩壊以前というのは頑張れば頑張るだけ結果もついてきた時代でした。人というのは(いつも私が主張しているように)楽な方に流れ易い、という性格を持っています。そして、高度成長時代のようにみんなが頑張るという方向を向いている時というのは、頑張っているのがいちばん楽だ、ということです。頑張っていさえすれば仲間はずれにはならないのです。

こういう時代だと、他人から強制された時のパフォーマンスは下がる、と先に書いた法則は若干修正をする必要が出て来ます。なぜなら、頑張るほうが楽、という時代というのは、強制された時もあまり違和感なく頑張れる時代だからです。

高度成長時代、指示命令が内的な動機を引き出す努力をほとんどしないままにそれなりに機能してきた背景にはこういう事情があったのです。

問題はバブル崩壊以降です。

バブル崩壊後はいくら頑張っても頑張るだけでは結果がついてこない時代になってしまいました。この時代は頑張るよりも、無関心でいる方が楽だったり、引いている方が楽だったりする時代です。つまり、逃げたり、閉じこもったりしている方が楽な時代なのです。見方を少し変えると、今や多くの会社で不満は持っていても表向きあまり困っていない社員が激増しているのがわかります。つまり会社と自分の間にバリアを引き、醒めている人たちです。

問題はこうした人たちを指示や命令で動かすのは至難の業だということです。もちろん、この人たちも言われたことは仕事ですからやります。しかし、何か新しいことを生み出すとか、マニュアルにないことを創っていく等ということはやれなくなってしまったのです。

ということは、バブル崩壊後、いちばん変えなくてはならなかったのは、まずこの方針実行のやり方だったのです。指示命令だけで人を動かそうとするのではなく、内的な動機を引き出してその動機を努力する、という方向に進化させていくような実行スタイルが不可欠になっていた、ということです。

バブル崩壊後、残念なことに、管理職定年制や成果主義などは競って取り入れられましたが、いちばん肝心なこの方針実行のやり方は変えられることがなかったのです。

結果として、今でも多くの企業で、上から目線で、「やらないといけないことはわかっているよな」と目標数値を示し、「なぜやらないんだ」と圧力をかけることで結果を出そうといったマネジメントスタイルが横行しているのです。

時代の大きな変化と共に、本当に変えなくてはならなかったことが残念なことにまったくと言っても良いほど顧みられてこなかったということです。失われた10年、失われた20年というのはまさにこの問題から発生している、ということだと私は考えています。